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中野中氏による連載記事にて紹介していただきました

百兵衛no.56、2021年2月増刊号
百兵衛no.56、2021年2月増刊号

美術評論家・中野中氏による評論

美術雑誌「美術屋 百兵衛」、中野氏による連載「美のことごと」第33回、”ヘンだからに惹かれる”
の中で、原 大介の個展について触れていただきました。
ありがとうございます。

下記に記事を抜粋させていただきました。

「小さな図版と実物の大きさとの落差である。 コロナ禍で自粛を強いられ、生の作品を見 れないうっ屈(ストレスなのだろう)が沸点を迎えていた秋の初めごろ、公募展もパラパラと開かれ、街の画廊もボツボツと活動を始めた。誰もが我慢に疲れきっていたのだ。私もビクビクしながらも用心深く、書を捨てて街へ出た。しかるべき空間で、しかるべき大きさの作品、油の匂いや肌を生で感じている うちに、閊(つか)えに閊えていた胸の内が少しずつ霽(は)れていった。


そんな気分にさせてくれた23の作品に触れたい。


その一は、「原大介展」(119~21日、 日本橋室町・椿近代画廊)。掲出作は題名もなく、已むない小さな図版なので、何もわからないであろうけれど、もってまわった私の 文字ばかりの付き合いから離れて息抜きをしていただきたい。


原は「硬さと柔らかさ、静かな激しさ、集中と拡散、秩序と混沌というような対立する 概念の"相克"或いは "同存"が可能かー」 をキャンバス上で問いかけるのがテーマだという。それはコロナ禍でさらに深まった分断社会への眼差しでもあるが、長く追い続けて きたテーマでもある。ここに並べた3点、露骨というか解り易いというか、 横断する線で 分断した上と下で、筆致を明確に違えている。 ここまでやるかとヘンに思いながら、この横断する白線は、画面の分断であり上下の相克でもあるが、徐々にその線が、いま生まれた線でなく、両者(上下)が歩み寄ってきた、 あるいはあと一歩の融合、もっと読めば互いの違いを認め合っての同存、ではないか。そ う見ていると実に深いところへ思いを運んでいく。 確かにここに原大介はいる。」



美術評論家 中野  (なかのあたる)


長野県生まれ。 明治大学商学部卒業。 月刊誌「日本美術」「美術評論」 旬刊紙「新美術新聞」の編集長を経てフリーに。著書に 「燃える喬木 千代倉桜舟」 「なかのなかまで」「巨匠たちのふくわらひー 46人の美の物語」 「なかのなかの〈眼) 「名画と出会う美術館」 (10 : 共著等の他展覧会企画・プロデュースなど

百兵衛182P
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